それいけ!タボリーマン

はるかノスタルジィ 思てたんとちゃう。大林映画にこの路線は求めてない。

ロバートゼメキス漁りも一段落したので、大林宣彦漁りを再開した。

はるかノスタルジィはAmazonプライムビデオでは無料配信されていないので、ゲオの宅配レンタルで調達。

感想としては長い!165分より長く感じる…
良い意味で長いじゃなくて、冗長と思えるシーンが多い。

序盤はおっさんの過去がどうのこうので、おっさんの過去に興味はねぇ!と思いながら観てた。ヒロインの石田ひかりも「ふたり」の時ほど輝いておらず、なかなかこの世界に入っていけなかった。
(ひたいのブツブツが気になるレベルやったし…)

中盤はおっさんの過去が徐々に見えてきて、三好瑤子も出てきて、この先どうなるやろ~とこの映画の中で一番引き込まれた。
でもストーリーが必要以上に暗いんだわ…
意識的に忘れようとした過去だから、まぁそのくらいのパンチが要るんかもとは思うけど。

終盤は完全に蛇足やと思った。
朝里川温泉での出来事の後からの部分は、皆さんの想像にお任せします、で幕引きの方が余韻が残る。
はるかの母親(瑤子の親友)が出てきたあたりから、あれ?って感じになった。
母親も語る語る…。
はるかも血迷っておっさんとラジバンダリしたり。
孫まで出てきて、おじいさんに喰われそうでハラハラしたわ。

というわけで、観賞後の感想としては長かったなぁ~となる。
あと、私が大林宣彦の映画に求めていない性的な表現がやけにダイナミックになされてて、毒しかないと思った。
大林宣彦のヒロインは大人?子ども?の超グレーなきわどい雰囲気が魅力じゃなかったっけ?
そのグレーゾーンをはみ出たらアカンのとちゃう?

で、おっさんが瑤子に売女となじりながら抱くクライマックスと言えるシーンやけど、このシーンありきでシナリオ書いたんちゃう?と思えてならない。

俺なら密会の場所で瑤子の親友に温泉で待ってると言われたら、行かないか、行くなら素性に依らず愛してることを伝える。

それがこのおっさんときたら、売女となじりながら突っ込むって、まさに鬼畜の所業!

まぁ、この起点が無いと映画にならないんだけど、あるジレンマに立ったとき自分でも取りうるかもしれんな~という選択肢が絶妙であって、誰もそれは選ばんやろー的なものであれば、その先はシラケて観るほかなくなる。
この映画ではまさにその選択肢はないなーを選ぶので共感できないまま終わってしまう。

ところで、瑤子は娼婦だったんだろうか?
後をつけたら大学生の男とイチャイチャしていたり、娼家をうろついていたり、と状況証拠は黒と言うている。
娼家の娘という解釈は少々強引にも聞こえる。
なので私は黒と想像する。

が、大事なのは瑤子が弘を愛していたか?だ。
双方の愛があるなら再出発は可能と見る。

弘は未練たらしくあの場所に通っていたので愛は残されていただろう。

瑤子はこの映画だけでは真の気持ちまで汲み取れない…
ただ、温泉に誘ったくらいだから、愛はあったかもしれない。
それなら、温泉じゃなくあの場所に行くだけで良かったんじゃないか?
温泉みたいなややこしい所に誘い出したから、ああやっぱり売女なんだと弘に確信を与えたのかもしれない。

で、繰り返しになるが、弘は売女を軽蔑しているなら、ノコノコ温泉に行くべきではなかったと思う。
行ったなら売女であろうがなかろうが瑤子を愛しているとただ伝えれば良かったんじゃなかろうか。

この映画のてっぺんのシーンで違和感があったので、私的にはイマイチな映画となる。
「ふたり」は傑作だったので、残念でならない…

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