それいけ!タボリーマン

映画「砂漠でサーモンフィッシング」可もなく不可もなく…

「マイライフアズアドック」「やかまし村の子どもたち」のラッセハルストレム監督作品ということで、この「砂漠でサーモンフィッシング」を観てみた。
中年おじさんの理論的には成り立つ恋愛が、現実としてどこに着地するか?が気になってラストまでハラハラしながら楽しめた。
が、観賞後の余韻は皆無である。
なんでかなー?
ハリエットが軍人の恋人を想う気持ちはホンモノであることは劇中から伝わってくるが、その想いがわずか3週間で醸成されたもので、その薄っぺらさが感情移入の度合いも浅いものにしている。
3年付き合って結婚間近ならリアルや。
そうすると、中年おじさんの想いが届く余地はなくなるか…
でも、冒頭のロバートとのラジバンダリは、明らかに尻軽女のそれで、てっきり戦地へ送り出したらすぐに新しいボーイフレンドを作るものと思ったけどね。
戦地の彼を固唾をのんで待つヒロインな自分に酔ってただけなんじゃない?
仕事が手に着かないほど心配になるほどの付き合いじゃないでしょ。
このあたりの地固めが甘いので、中年おじさんの妄想を映画にしてあげたよ的な安っぽい恋愛ドラマにしてるように思う。
恋人のロバートはほんまええ奴やったから、恋愛期間が短くてもホンモノと確信できたのかもしれないが…。
シャイフの目的も分かるようでよーわからん。なんか後世までその地域に恩恵を与えるために頑張ってて、かなりの人格者で、主人公たちが彼に魅せられるのもうなづけるんだが、鮭の釣り場を作ることが後世まで貢献する事業になるって所が全然繋がらなくて、なんとなく良いことしてるんだねーと素直な気持ちで観るしかなかった。
ここら辺は原作で詳しく語られてるのかもね(読まないけどね…)
ジョーンズ博士とメアリーの冷めたディンクスの現状はよく伝わってくる。
このあたりの演出はさすがラッセハルストレム!
が、そこに至った経緯をもう少し語ってほしいかな?
そこは想像にお任せします、でも良いかもしれないが、それがハッキリしないと、単におっさんが若い娘に心を奪われて家庭を捨てただけのストーリーになってしまうよ(実際なってしまってるよ…)。
パトリシア(首相の広報官)は、かなりええ味出してた。最後はアクが強すぎて嫌悪感が立ってきたけど、まぁあれくらいキャラのエッジがきいてる方が分かりやすくて良い。
音楽はたまに流れるケルト風なやつが良い感じだったが、あまり印象に残らない。
スコットランドのシャイフのお城は行ってみたいな。あんなところで時間を忘れて数ヶ月過ごせたらなぁと思った。
と、イロイロ文句やらを並べたが、人間ドラマは巧みな演出で丁寧に表現されており、映画としてのクオリティは高いと思う。
残念なのはストーリーのバックグラウンドの地盤の緩さかな。
結果、わざわざ観るほどではないかな、と。
キャストのファンとか、監督が好きとか、そんなのが無いとそもそも観ない映画でしょう。

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