攻殻機動隊 新劇場版 OVAの延長としか思えない

2017年10月17日

押井守の劇場版が好きで、色んな攻殻機動隊を見ている。
その流れで最新作のこれを観てみた。

相変わらずの複雑なストーリー。

一回目ですべて分かろうとするとしんどいから、フィーリングで流しながら、繰り返しみて楽しむものと割り切っている。
が、どうも二回目を見るのは相当先か、もう無いかもしれない。

というのも、戦闘シーンとか主人公を取り巻くストーリーとか音楽とか、どれも小粒な感じだから…

例えば、電脳内の表現に目新しいものもなく、光学迷彩といったギミックもなく、音楽に至っては鳴ってた?と思うくらい印象が薄い…

CG技術が20年前と比べると飛躍的に進歩してるはずなのに、押井守の攻殻機動隊より映像で見劣りするなんて…

OVAなら予算や納期やらで小粒になるかもしれんが、これは劇場版!
映像や音楽に金と時間をふんだんにかけなくちゃ。
素子の視界がシャットダウンして、再び目覚めるシーンとか昭和ですやん!

映像と音楽が月並みでも、演出の妙で魅せてくれたら良いのだが、起伏の乏しい場面が次々と繋げられたような退屈な映像が垂れ流される感じ。ストーリーが(背景を理解するまで)訳分からんのやから、演出で魅せてもらわにゃついていけない。

さっきの素子の視界がうばわれるシーンも、演出ひとつでもっと緊迫感が出るんじゃない?
あれ、視界が奪われた直後の暗転が短すぎ。

あー視界が失われていくー、ヤバいなぁ…、どうなるんやろう…(この映画ではバトー達に救われてから暗転するから、そのヤバい感じすらない)。
暗転が数秒あって、バトーの声が聞こえて目を開くとベットに寝ている。
どうやらバトーに救われた様だ。でもどうやってあの窮地から脱したのかは知る由もない…
くらいの演出が欲しいところ。

一人で敵地に乗り込むのも、決死の覚悟は感じられず、ちょっと乗り込んでみるわ位の雰囲気なのが勿体ないと思う。

あたりさわりのない普通のアニメを映画館で流してんじゃねぇ!と(家でDVD見ながら)思った。

うーん、押井守の劇場版とは雲泥の差ですなぁ。
押井守のあれはほんと良かったよ。
冒頭の暗殺シーンを思い出しただけでも、カッコよすぎでジーンとくるもんなぁ。
川井憲次の音楽もしばらく頭から離れないでしょ。

音楽も戦闘シーンも言葉の掛け合いも、どれをとっても一級品の出来で、これぞ映画!という貫禄があったもんな。
たまにムショーに観たくなるわ。
って、新劇場版の最後のシーンみたら、マジでまた観たくなった!
(新劇場版の最後のシーンも、あの素晴らしいお手本がありながら、あの程度の表現しかできないんだから、もうこれは監督の才能の限界なんだろう)

あの映像と音楽を1995年(約22年前)に実現してたというがほんと驚異的なんよね。
こういう作品を、不朽の名作と呼ぶのでしょう。

ちゅーかんじで、新劇場版はイマイチでした。
ストーリーは色んな方の解説を読んで、なんか納得しちゃったから、二回目を見るのはないかなー。
もうちっとカッコ良かったらなぁ~。

と、ある程度期待していたので、とても残念な気分です…