クヒオ大佐 これが実話なんだから世の中ほんとわからない

吉田大八監督の映画「クヒオ大佐」を観た。

これまたプライムビデオで無償公開されている。ありがたや。

なんの予備知識もなしに観たので、浅岡春(満島ひかり)に「きみ、子供が嫌いだね」と片言の日本語で言い放つクヒオ大佐に、こいつただ者じゃねーと思ったが、まんまと騙された。

永野しのぶ(松雪泰子)から金を受け取る時点であーあかんやつやって思うが、当の本人は騙されてるなんて微塵も思わない。んなアホな、と思ってたが、後で知ったけどこれ実在の詐欺師をモチーフにした映画なんよね。こんな稚拙な詐欺がまかり通るなんて、ほんと世の中わからんことばかりや(汗

しのぶの弟(新井浩文)に正体を見破られるあたり、男は騙せないのは妙にリアリティを感じたり…。

弟に強請られて姉から金を引っ張ろうとする下りは笑った。

と、序盤から中盤はそれなりに楽しめた。

が、後半はなんだかなーという展開。

私的に嫌だったのは、しのぶと最後の晩餐でハンバーグ弁当食べるシーン。

クヒオ少年の生い立ちを彼自身が語るが、すべて嘘。それもしのぶの望みを叶えてあげる為の無意識な嘘かもしらんけど、これから死のうとする人間対人間のコミュニケーションに嘘は排除してほしかった。そこは彼自身の心情(ホンネ)を吐露して欲しかったけどなぁ。

あとラストもね、内野聖陽が出てくる下りはちょっと着いていけなかった。ヘリで将校になる部分も含めてね。

というわけで、結末の後味が悪くてあまりグッとこない映画だった。

【付録】

吉田大八監督の作品は、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」と「桐島、部活やめるってよ」を観た。

前者は二回みる気にはならなかった。クヒオ大佐もそれと同じ香りがするので、1回しか観ないと思う。

一方の桐島…は既に2回観ている。こちらはかなりオススメ。

とても良い演出をする監督なので、今後の作品に大いに期待したい。